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学長からのメッセージ

写真:奈良女子大学長 今岡 春樹

-女性が活躍する時代の先頭を歩む-

奈良女子大学はユニークな特徴を持っています。園児から大学院生まで、年齢でいうと3歳から27歳まで25年間の教育システムを持っています。寿命との割合を考えると、人間は随分勉強が好きな動物といえます。学部については、女子大学の定番である「文学部」があります。女子大学としては珍しく「理学部」があります。女子大学にしかない「生活環境学部」があります。そして日本の女子大学史上初となる「工学部」があります。

奈良女子大学の前身は「奈良女子高等師範学校」で、1909年に開校されました。1907年の帝国議会で、第二女子高等師範学校を関西のどこに置くかの議案について投票がなされました。京都と奈良で131対132の僅差で奈良に決まりました。東京女高師は都会で首都に置かれたのですが、奈良女高師は古都に置かれたのです。とても運命的な役割を感じます。

第二次世界大戦の敗戦後、「学校」を「大学」に昇格させるべく、先人達が命を削るような運動を展開しました。大学設置の基本として「一県一大学」があったため、例外として認めてもらうことになりましたが、その困難さは想像を絶するものがあります。このように新制においても生みの苦しみを味わったのでした。

1980年に博士課程がスタートしましたが、構想段階から4年もの歳月を要しています。自前の博士を育成できることは、大学にとって大変強い望みでした。三度目の生みの苦しみを味わいましたが、現在大学院人間文化総合科学研究科では500人を超える大学院生が研鑽を積んでいます。

日本は2007年から人口が減少する国になりました。水の流れが変わったのですから、様々な面で従来の考え方が間に合わなくなったり、常識が反転したりします。過去においては、明治維新や第二次世界大戦の前後で激しい価値の反転が起こりました。「社会のための科学」に「科学のための科学」と同じ地位を与えようという運動が起こりつつあります。日本のアカデミーである日本学術会議から発信されています。同時に、「女性のリーダー」を希求する声が強くなっています。奈良女子大学はその歴史から明らかなように「女性リーダーの育成」を基本的な使命としています。言葉で言うのは簡単ですが、現実には様々な障壁があります。「ワーク?ライフ?バランス」という運動はその現実を表現したものです。

奈良女子大学は、奈良という古都に位置していますし、自然に恵まれています。全国から学生が集まり奈良を満喫し全国に帰っていくのです。奈良で学ぶことは、都会で学ぶ「先頭を走る」ことではなく「先頭を歩む」のが相応しく、そのような姿で先人からの情熱を受け継ぎたいと思います。

奈良女子大学長 今岡 春樹

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